2006年12月09日

続・家の断熱性能と冷暖房について

★ 家の断熱性能と冷暖房について(追補版)★

H.H.さんからお礼とともに追加の質問がメールできました。
そのメールの内容(青緑色)にボクが回答(黒色)を書き込む
かたちでお答えしたいと思います。

 ◆ ◆ ◆ ◆
 
   ナベさん

本当に丁寧なお返事をいただき、ありがとうございました! 
大変勉強になりました。今後いろいろ検討したいと思います。

お答えいただいた内容について、またまた質問があるのですが、
この場でさせていただいてよいのでしょうか。
それともブログの方に書き込んだ方がよいのか・・・・よくわかりま
せんでしたので取りあえずメールで書かせていただきます。

1.日射遮蔽への配慮という点について
具体的には庇やカーテンといったような事でしょうか?
他にどのような物がありますか?
ガラスをLow-Eにするという事も一つの対策と思われますので、
LDKの西面・南面にはLow-Eガラスを入れる予定ですが、家全体
の事を考えると2階の西面・南面(主寝室と子供部屋)にもLow-E
を入れた方が効果が高いでしょうか?


まず、Low−Eガラスには遮熱性能に優れているものと、そうで
ないものがあるので注意して下さい。
例えば日本板硝子では…
ペアマルチスーパーが断熱性。
ペアマルチレイボーグが断熱性+遮熱性+UVカット。
…というようにです。
どちらも一言で表現すればLow−Eガラスですが、日射遮蔽に
優れているのはもちろん後者なので確認してみて下さい。
(前者でも普通複層ガラスよりは遮熱効果があります。)
また、ガラスを変えるという意味では「ブラインド内蔵複層ガラス」
が最も効果が高いので予算が潤沢にあるなら、どうぞ。

さて日射遮蔽の具体的な手法ですが、以下のようになります。
1.窓などの開口部への外付けタイプ
  すだれ(日本古来の手法)
  ブラインドシャッターや雨戸(通風できる高機能なタイプ)
  オーニング(デッキなどによく使われるテントみたいな物)
2.窓など開口部への内付けタイプ
  レースやカーテン
  ロールスクリーン
  ブラインド
  障子
3.設計に係る手法
  屋根の軒の出や庇による計画的な日射遮蔽
  通気に配慮した屋根構造
  屋根材や外壁材の、日射反射率の高い材質や色の選択
4.その他の手法
  広葉樹による夏季限定の日射遮蔽
  芝生などによる窓前の照り返し防止
  よしず
  緑のカーテンと呼ばれる緑化による遮熱

…高機能ガラスにすることは日射遮蔽の一手段に過ぎません。
面倒が無くてよいし、効果も半永久的でしょうから高額なのも
当然かもしれませんが、対費用効果の点から他の選択肢も
あるのでよく検討なさって下さい。
また、2階の南西の窓に採用したほうが良いかどうかは軒の出
などの設計にも関係していますので単純にはお答えできません。


2.計画換気について
一応、24時間計画換気を入れることにはなっていますが、熱交換
式にまでする必要があるかどうか。あと建材選びについてですが、
これは業者任せになっていますが、木材の種類をリクエストしたり
するということでしょうか。


熱交換タイプの換気システムは、とても効率が良いように一般に
思われていますが、それなりに電気も消費しますし、カートリッジ
も高額だったりで、トータルのコストは必ずしも優れているとは
言い切れません。
兵庫という地域を考えるとシンプルな第3種換気でよいでしょう。

気密性を高めた家で、計画換気が正常に機能していない場合、
室内の空気が汚れやすく健康障害につながりやすいと言えます。
このことは換気を機械に頼りたくないということにも関係しますが
有害な化学物質が放散しにくい建材を選んでください。
ご自分でも色々な建材や木材に接してみて、業者さんとも相談の
うえで決めていけばよいと思います。


3.逆転結露対策
次世代にする場合の具体的な断熱材の種類などについては現在
照会中ですが、逆転結露対策というのは具体的には壁外通気と
防湿シートのようなものと考えて良いでしょうか。


断熱材がグラスウールやロックウールなどの調湿性の低いもの
を高温多湿の季節がある地域で採用する場合に必要で、発泡
プラスチック系などの場合は不要です。
外側の透湿防水紙と併せて、室内側に張ります。
単なるポリエチレンシートや一般的な透湿防水紙とは異なります
ので注意して下さい。


4.気密検査について
これは業者にリクエストするものでしょうか。それとも次世代省エネ
仕様で建てる場合は必ず行われるものでしょうか。


気密検査は建築基準法上の義務にはなっていないので、検査を
しなくてもかませんが、次世代省エネ基準にするぐらいなら、検査
するのは業界では一般常識になっている…ハズなのですが。


5.床暖房について
ナベさんの回答を見て床暖房の導入について再考しております。
まず床暖房の設置の仕方ですが、業者から提示されたのは
リビング13.4帖の中央6帖分ぐらいと、ダイニイングキッチン
16帖(リビングと つながっています)のダイニング部分(8帖ぐら
い?)の中央4帖分ぐらいです。キッチンには入っていません。
導入の仕方としてこれでよいのでしょうか。


めいっぱい敷設する必要はありませんが、もう少し面積を増や
す必要があるように思います。
また、キッチンは奥様の城ですからね(笑)ボクは必ず入れる
ようにお薦めしています。


最近では床面積のかなりの部分にまで床暖房を入れることが
できるとも聞いたことがあるので、この点はどうなのでしょうか。
また、暖房効果という意味でもこの程度で充分なものでしょうか。
それと床下断熱では・・・・という話がありましたが、床暖房にする
場合は基礎断熱にしないとコストがかかってしまうということでしょ
うか。


入れようと思えば入れられますが、その部分に家具などを置く
と、無駄になりますし、その部分が高温になってしまいます。
家具や熱に弱い電化製品の設置を考慮して壁から60センチ
程度話して敷設するケースが多いですね。
暖房効果は敷設面積が広いほど効率が良くなりますが、この
点と予算とのバランスを考えて決定するとよいでしょう。

基礎断熱に関しては、床下断熱はダメということではなく、しっ
かりとした断熱しないと効果が高まらないという意味です。
基礎断熱にしたところでいい加減な計画ではエネルギーの
損失につながるのは言うまでもないことです。


あと、冬場に床暖房をあまり使わないでいると流れている水が
凍ってしまって使えないことがあるとか聞いたことがありますが、
最近のものでもそんなことがあるのでしょうか。


申しわけありませんが、ボクはそのような話しは聞いたことが
ありません。躯体内の温度が0度以下になるというのは、よほど
の寒冷地だと思いますが…。
少なくとも熱源機には凍結防止のヒーターが付いていますので
留守中、家のブレーカーを落とすなどしなければ凍結することは
考えられません。


と、あつかましく追加で質問させていただきました。
本当に断熱関係の問題はいろんな人がいろんな事を言うので
混乱しているところがあります。中途半端になって効果が全く出
ないという事だけは避けたいですね。お金のかけ方を間違わない
ようにしたいというところです。

長々と失礼いたしました。
急ぎませんのでご返答いただけると幸いです。

H.H.


◆  ◆ ◆ ◆

項目ごとでは簡単な回答になってしまいましたが…
これ以上はまた次回にお願いします(…^^;)

それではH邸が快適な温熱環境の家になることをお祈りして!

ナベ
  
Posted by showroom_chousatai at 20:03Comments(0)TrackBack(1)

2006年11月29日

【回答】家の断熱性能と冷暖房について

★ 家の断熱性能と冷暖房について ★

H.H.さん、お待たせしました、相談員のナベです。

まず、H邸新築工事の諸条件を箇条書きにしておきましょう。


・場所は兵庫県の南で少し山へ入ったところ。
・冬は氷点下(−5度ぐらい)になることも多く積雪もある。
・夏は大阪市内ほどではないにしても35度になる日もある。
・1階のLDKが30帖で吹き抜けはないが、天井高が270cm。
・構造は木造で断熱の仕様は…
 >天井裏 ロックウール75mm
 >外壁 ロックウール75mm
 >床下 ミラフォームMK55mm
 >サッシはアルミサッシ(非断熱)
 >ガラスはペアガラス、1階の南西面のみLow−E
 …という、いわゆる新省エネ基準。
・次世代省エネ基準にするにはサッシで70万、断熱材で30万
 かかると言われている。
・冷暖房計画は…
 >17帖用のエアコンを2基設置した方がよいと言われている。
 >床暖房は電気にしろガスにしろランニングコストがかかるという
  ことだし、将来問題が発生したときのメンテが心配なので積極的
  に導入は考えていない。
 >ちなみに電気の場合45万 ガスの場合67万 追加でかかると
  言われている。


 ◆ ◆ ◆ ◆

質問は複数ありますので整理してひとつひとつ答えてみます。


Q1.『 次世代省エネに対応するレベルにした方がよいか
   あるいは、それ以上の高断熱・高気密にすべきか?


まず知って欲しいのは、単純に断熱仕様だけを次世代省エネ
基準にしても、効果が裏目に出る
場合がある、ということです。

計画している住宅が、高断熱・高気密を前提に設計されている
かどうか?…これが最も重要な点で、最低でも以下の3点を
クリアする必要があります。

夏場に熱気がこもるのを防ぐ、日射遮蔽への十分な配慮。
・良好な空気質環境を維持 するための、計画換気建材選び
・温暖地で断熱材がロックウールやグラスウールの場合、夏場
 の逆転結露対策


この3項目がOKなら、H邸は30帖ものLDKがある大きな住宅
ですから、次世代省エネ基準にする意味は大いにあります。
(次世代「以上」にするのは、兵庫という地域を考えれば必要ない
 と思います。)

ただ… 設計者や施工業者があまり高断熱・高気密の経験が
乏しく、いまさら計画の練り直しになるようなこともしたくない。
しかも予算もそれほど掛けたくない、というなら断熱材の性能
だけでも、もう少しアップさせたいところです。

お書きになっている断熱のスペックでは、たいへん失礼ながら
「今どき…」という感は否めません。
現在の仕様のままだと、今住んでいるマンションより快適度は
確実に落ちてしまうことを覚悟しなければならないでしょう。

「一戸建ての広いリビングで生活する際の温度がピンとこない」
とのことですが、日照りのよいマンションの南側の部屋をひきあい
に出すと、昼間の快適さは次世代基準をもってしてもあわや…
ぐらいに考えていただいてよいと思います。



Q2.『個人的には高断熱はいいとしても高気密には少し
   抵抗があります…


気密」って言葉は響きもよくありませんし、何だか息苦しくなる
感じがしますよね(苦笑)… 抵抗があるのも無理もありません。

しかし、気密性能のアップは「計画換気を有効に機能させる」と
いう意味でとても重要 なことです。
計画換気とは、室内の「空気の質」を常に良好に維持・管理
しようとする仕組みのこと
で、ふつう換気装置等で行います。
(換気設備の設置は建築基準法でも義務化されています。)

機械に頼った換気なんて!

…と思われましたか?日本人なら普通の感覚だと思います。

風通しの良い家にして、適度に窓を開け閉めすれば、自然の風
を家に取り込んで、快適な生活ができるではないか!? …と。

まったくそのとおりです。

しかし、自然の風を上手に家の中に取り込む仕組み
室内の空気質を常に良好な状態に管理する仕組み
似て非なるもの。決して相反することではないのです。

外の温度と湿度が一年中一定で快適…、そんなうらやましい気候
なら話しは別ですが、四季のある日本ではどちらも大切なこと。

兵庫なら真冬や真夏は、窓を閉め切った状態で生活する時間が
長いことを想像すれば、計画換気をないがしろにできないことは
お分かりいただけるでしょう。

家の中の空気は換気をしないと、建材から出る化学物質や、生活
から発生する湿気(水蒸気)、我々の呼吸に伴う二酸化炭素など、
人間の目には見えない様々な物質を溜め込んでしまいます。

そんな汚れた空気を、できるだけ効率よく、しかもまんべんなく、
新鮮な空気に入れ替えようというのが計画換気なのですが、
…ここでちょっとイメージしてみてください。

あなたはストローで新鮮なオレンジジュースを飲んでいます。

そのストローに針の先ほどの穴が開いてしまいました。
すると新鮮なオレンジジュースだけをいつものように飲むことが
できなくなってしまいましたよね?

液体と気体をごっちゃにしたあまりいい例えではありませんが、
家の隙間が大きいと(気密が低いと)新鮮な空気を計画
どおり部屋に取り込むことができなくなる
、ということを説明
したかったのです。

また、効率のよい計画換気は、必要以上に部屋の空気を入れ
替えずに済むという意味でも大切です。

とくに湿気の多い梅雨時や、外気温度が低い真冬では、いくら
換気が大切だといっても、必要以上に部屋の空気を入れ替え
ることがかえって良くない
のは、感覚的にもわかるでしょう。

さて、どのレベルまで計画的な換気を実現するかは、間取りや
使用する建材、住まい方などなどの諸条件によって異なりますが
コストも含めてバランスをとった計画にするのは、設計者の役目
です。いや、設計者の腕の振るいどころです。

後述しますが、計画換気は住まいを快適で省エネにするために
考えなければいけない重要な項目のひとつです。
何となくイメージが悪いから気密性は低くてもよい、という単純な
話しではいけないのです。



Q3.『 慣れてない業者に気密シート張りはまかせない方が
   よいとの話も聞きますが…


施工業者の技術レベルの問題は、気密検査 を実施することで
解決できるように思います。
ちゃんと勉強してしっかり施工しないと結果が出ませんからね。
また、シートは夏場の逆転結露を防止できるシートを使うように
してください。



Q4.『 せめてLDKのサッシを断熱仕様にするだけで結構
   変わるものでしょうか?


樹脂サッシや木製サッシ、二重サッシにまですれば、その差は
歴然と出るのですが…。

LDKのサッシのサイズや総面積にもよりますが、断熱仕様にして
体感できるほどの差が出るかと聞かれると、答えに苦しみます。
数値的には単なる複層ガラス仕様に比べて、2〜3割良くなるよう
ですが、体感的には…う〜む(苦笑)
雨戸やカーテンを閉めた状態ではなおさら体感しにくいです。

断熱サッシに変更する優先順位 をあえて言えば、日あたりの良
いLDKよりも、他の部屋、例えば…北側に配置された寝室など、
結露しやすく、住環境に悪影響がありそうな場所の窓を優先させ
るべき
だと思います。



Q5.『 断熱仕様はそのままにするとして冷暖房は普通の
   エアコン(電気)2台設置ででよいかどうか?


30帖のLDKを家庭用のエアコンで空調するには、施工業者
さんが言うように2台設置するしかないでしょう。
(30帖用などという大型機は家庭用ではありませんからね…)

例に出されている「6帖用2台で12帖に…」というのは、一見、
効率的に思えても、初期コストも、ランニングコストも、決して
効率的ではない、という意味です。
二台設置が使い物にならない…というわけではありません。

事務所や店舗などでは複数設置してありますよね? 考え方は
それと全く同じことです。



Q6.『 冬場はガスファンヒーター(あるいはオイルヒーター)
   を、いくつか置いた方がよいのか?


ガスファンヒーターやエアコンなど空気という媒体を暖める方法
はとてもエネルギー効率が悪く、快適度も低いのが特徴
です。

意外に思われたかもしれませんので解説しましょう。

乾燥した(水蒸気をほとんど含まない)空気は、熱を蓄える
能力がほとんどない
、ということが、まず基本です。

熱を蓄えられないから、熱を伝えることもできません。

サウナの室温が100度近くでも火傷しなかったり、ペアガラスの
あいだに乾燥空気を充填して熱を伝えにくくする、などは身近な
例ですが、何となくお分かりいただけるでしょう。

空気が熱を伝えられるのは、もっぱら空気中に含まれる水分、
つまり水蒸気によるものです。また、空気というのは温度が低く
なればなるほど蓄えられる水蒸気量はほとんど無くなってゆき
ます。

つまり冬場 低温の空気は水蒸気をほとんど含まず、乾燥した
空気はほとんど熱を蓄えることができない
ため、どんなに沢山
熱を加えても、たいして暖かくならない、という図式が成り立って
いるというわけです。

これは単純な物理ですから、どんなにファンヒーターなどの効率
が良くなったとしても、乾燥した空気を媒体としている限りトータル
での効率の悪さは決して解消できません。

※ここで言うガスファンヒーターは給気と排気を室外で行うFF式
のことです。生ガスを室内で直接燃焼させるガスヒーターやガス
ストーブは、燃焼時に化学反応で大量の水蒸気を発生するので
暖まるのが早く効率も良いので人気が高いのですが、二酸化炭
素も大量に発生して空気を汚してまうので、気密を高めてまで計
画換気を行っていることと相反する行為で絶対お薦めしません。

しかも、上記の理由により「空調」は満足するエネルギーの伝達
をするために、空気の温度と風量を必要以上に上げなくては
ならず、結果的にとても不快に感じる
のです。

空調による暖房のメリットは、手軽に機器を設置できるということ
や、据付工事費が安価に済む点などで、リフォームなどにはいいで
しょうが、新築では積極的にお薦めするわけにいきません。

では、何がよいかといえば…

暖房は空気を媒体としない輻射暖房をお薦めします。

私たちは、小学校の頃から暑さや寒さの基準を気温、つまり空気
の温度だと教わってきました。

そのせいで暖房というと室内空気の温度を上げることだとばかり
考えがちです。ところが実際の体感温度というのは室温だけでなく
壁や天井、床や家具などと人体との輻射による熱の交換が大きく
影響しているのです。

真冬、室温は20度を超えているのに、窓に近づくとひんやりした
り、冷えた部屋にエアコンをガンガンつけてもなかなか体が温ま
らないのは誰しも経験があるでしょう。

前述したように、冬場の空気はただでさえ熱を伝えにくいので
体感的に快適を感じるのは空気の温度よりも、むしろ壁や天井
など身体の周囲の温度による影響が大きいわけで、それらを
直接温めてしまえばエネルギー効率も良いし、不快な空気の動
きも無く、ほこりもたたず、快適でいいことづくめというわけです。

さて…
輻射暖房の代表選手は日本では床暖房 ということになります。

床暖房は電気式にするか温水式にするかで議論が分かれる
ところですが、それぞれメリットデメリットがありますので選択は
考え方によります。(ここではあえて述べません。)

しかし「ランニングコストがかかる」というのは大いなる誤解で
ニクロム線を使った電気式の床暖房は確かに掛かりますが、
電気でも発熱体式や、温水式の床暖房は、蓄熱量の大きい
床材を採用して熱が床下に逃げないよう、 しっかりとした施工
をしさえすればランニングコストはちゃんと低くなります


ありがちなのが、基礎断熱方式でなく、床下断熱でしかも
断熱性能があまり高くないケースです。
外気に開放されている床下に床暖房の熱がかなり逃げてい
る状態になっていて、そりゃあ燃費も悪かろうというものです。

そういえばH.H.さんは床暖房の導入には消極的でしたネ^^;

オイルヒーターは輻射暖房なのですが、補助的な使い方に
限定されたほうがよいですね。発熱体がヒーター(ニクロム線)
ですから基本的な効率が悪く、電気代は結構かかります。

そこでとっておきのご提案をしましょう。

30帖もあるということなので、何も物を置かない壁はどれくらい
あるでしょうか?
もし、壁だけの面積がたくさんあるなら、床ではなく、壁を暖房
する幅木暖房という方法があります。

本来、熱を蓄える場所はなにも床に限らず、壁や天井でも良い
のです。勘違いしやすいですが、床暖房はホットカーペットと違い
足を暖めているから暖かいわけではありません。
床からの輻射によって壁や天井の温度が上がり、結果的に
人体から温度が奪われず、快適な空間となる
のです。

ところが天井は施工性の問題で、壁は「何も置かない壁がほとん
どない」という日本固有の問題によって、成立しにくいのです。
(壁による輻射暖房は欧州ではかなり普及しています。)

何もない大きい壁がある程度あれば、幅木部に放熱器を設置
して壁を暖めるこの方式は、 メンテナンス面での心配が少なく、
初期コストも低く抑えられ、しかも床暖房のように床という断熱
材が介在しないので熱効率も優れ、ランニングコストも抑えら
れる
ので、とてもお薦めです。

注意点としては、壁を蓄熱性の高い仕上げ =左官材などで施工
することぐらいでしょうか。



Q7.『 ガスエアコンの方がパワフルだとの話も聞きますが
   いかがでしょうか?


ガスエアコンとはGHP(ガスヒートポンプ)方式のことでしょう。
効率は電気式のエアコンに比べて3割程度良いことになって
いますし、大きい容量の製品もあってパワフルですが、経験的
に言って、調子にのってがんがん使うとランニングコストが驚く
ほど大きくなります。
そもそも、いくら効率がよいと言っても、前述したように乾燥空気
を媒体にした暖房に過ぎないので限界があります。

もっと言うと家庭用としてのGHPは過去のものとなりつつあり、
エアコンとの効率比較でも、年々改良されている最新式のエア
コンと比べて、いまやアドバンテージがあるか甚だ疑問です。

また、本来GHPを家庭用として採用するのは、かなり大規模な
住宅で、エアコンまで電気にするととんでもなく電力を使うことに
なってしまって、電気設備が一般家庭用をはるかに超えるものに
なるのを避けるのに検討されるものです。

しかも現在は、ガスでエンジンを動かすにしても、発電が可能
エコウィルや燃料電池 のライフエル(いずれも東京ガス)などの
ガスによるコージェネレーションシステムが主流 で、家庭用の
GHPが現在入手できる地域がどれだけあるかも不明です。



Q8.『 いずれにしてもこのような中断熱の広いリビングでは
   ランニングコストはかなり高くなるのでしょうか?


現状のままの仕様ではおそらく想像しているとおり、ランニング
コストはかなりのものになるでしょう。
マンション住まいの現在よりだいぶ我慢をするというなら話しは
別ですが…。


Q9.『 断熱仕様を変えるとランニングコストもかなり変わって
   きますか?


一般論で言えば、断熱性能の向上に伴ってランニングコストは
下がってゆきます。

しかし、断熱性能(専門的には断熱外皮計画と言います)
ランニングコストを下げる項目の一つに過ぎません


家のエネルギー消費を削減するには、難しく言うと…

・冬場、いかに日射熱を取り入れるか(日射熱利用計画)
・夏場、いかに日射熱をさえぎるか(日射遮熱計画)
・夏場、いかに自然の風を取り入れるか(自然風の利用計画)
・いかに効率のよい暖冷房にするか(暖冷房設備計画)
・いかに効率のよい換気を行うか(換気設備計画)
・いかに効率のよい給湯を行うか(給湯設備計画)
・いかに日常の消費電力を少なくするか(照明・家電設備計画)

わかりやすく具体的にいうと…

・高断熱の断熱工法の検討。
・調湿性能や蓄熱性能の高い内装材の採用。
・夏季の日射遮蔽、及び自然風の積極的な取りいれと、
 風の通り道のデザインで極力冷房機器に頼らない計画。
・冬季の積極的な日射熱利用、及び空調ではなく輻射による
 採暖計画。
・高効率な給湯機器の採用。
・高効率なエアコンや冷蔵庫などの家電製品の採用。
・照明の分散配置計画と高効率な器具の採用。
・節水型の設備機器の採用。


(あんまりわかりやすくありませんね、スミマセン)
さらに検討すべき特殊な項目としては・・・

・深夜電力利用
・太陽光発電システム
・太陽光温水器システム
・雨水再利用システム
・屋根緑化/壁面緑化
・地熱利用システム
・冷輻射システム



かように住宅の省エネルギーを実現するには多くの項目があり、
断熱性能や工法うんぬんは、単に一つの項目に過ぎません。

たとえ断熱性能は次世代省エネ基準より少し劣っていても、設計
次第では、冬季にほとんど暖房エネルギーを使わないような省エ
ネ住宅にすることだって可能です。

また、ランニングコストは日常の省エネへの意識、生活パターン
によって、結果がかなり変わることも付け加えておきます。


◆  ◆ ◆ ◆

振り返るとまたとんでもなく長い回答になってしまいましたがいかが
だったでしょうか?…^^;

住まいづくりは千差万別で、予算を含め色々な事情があってでき
あがってゆくものですが、いつも言うようにバランスが大切です。

じっくり計画を練って、住みやすく快適な家を手に入れて下さい。

ではでは!
  
Posted by showroom_chousatai at 17:54Comments(12)TrackBack(0)

2006年11月24日

【相談】家の断熱仕様と冷暖房について

★ 家の断熱仕様と冷暖房について ★

まいどっ、相談員のナベです。

新築する住宅の断熱性と冷暖房についてメールでご相談を
いただきました。メールにはお名前が記載されていましたが、
ここではHHさんとしておきます。

いただいたご相談内容を転記しますね。

 ◆ ◆ ◆ ◆

はじめまして 

この度、木造の新築を建てることになりました。
LDKを広くという要望で、図面上では現在1階のLDKが30帖の
広さです。吹き抜けではありませんが、天井高を270cmに上げ
て貰う予定です。

そこで心配なのはこの部屋の冷暖房についてです。

場所は兵庫県の南の方ですが、少し山の方へ入ったところで、
冬場は氷点下(−5度ぐらい)になることも多く雪も積もります。
かといって夏は大阪市内ほどではないにしても35度ぐらいまで
上がる日もあるところです。

さて、現在マンション住まいですので冬でもほどほどに暖かく
暖房もよく効きますので一戸建ての広いリビングで生活する際の
部屋の温度がピンときません。

仕様書によると断熱に関しては
天井裏 ロックウール75mm
外壁 ロックウール75mm
床下 ミラフォームMK55mm
サッシはアルミサッシ(非断熱)
ガラスはペアガラス、1階の南西面のみLow−Eになってます。

いわゆる新省エネ基準とのことで、次世代省エネ基準にするため
にはサッシで70万、断熱材で30万かかるとのことでした。

17帖用のエアコンを2基設置した方がよいと言われていますが、
単純に2台で30帖をまかなえるものでしょうか。

例えば12帖の部屋を冷暖房するのに6帖用2台ではダメで
ちゃんと12帖用を買わないと・・・ という話を聞いたことが
あります。

床暖房は電気にしろガスにしろランニングコストがかかるという
ことですし、将来問題が発生したときのメンテが心配なので
積極的に導入は考えていません。
ちなみに電気の場合45万 ガスの場合67万 追加でかかると
言われています。

1.断熱仕様に関して
次世代省エネに対応するレベルにした方がよいか あるいは
それ以上の高断熱・高気密にすべきか。
個人的には高断熱はいいとしても高気密には少し抵抗があります。
慣れてない業者に気密シート張りはまかせない方がよいとの話も
聞きます。せめてLDKのサッシを断熱仕様にするだけで結構変わ
るものでしょうか。

2.冷暖房について
断熱仕様はそのままにするとして冷暖房は普通のエアコン(電気)
2台設置ででよいかどうか。冬場はガスファンヒーター(あるいは
オイルヒーター?)をいくつか置いた方がよいのか。またガスエア
コンの方がパワフルだとの話も聞きますがいかがでしょうか。
いずれにしてもこのような中断熱の広いリビングではランニング
コストはかなり高くなるのでしょうか。
断熱仕様を変えるとランニングコストもかなり変わってきますか?

多少の寒い暑いはいいのですが、エアコンをがんがん効かせてる
のに震えるぐらい寒いとかコート着ないとつらいとか、汗だらだら
かくぐらい暑いというのはちょっと困ります。

どこにどのようにお金を使うのが結果的によいのか答えが
なかなか出せずにいます。
是非、アドバイスをお願いいたします。

H.H.

◆  ◆ ◆ ◆

HHさん、はじめまして。
寒くなってきましたね… 季節柄でしょうか? このところ保温や
断熱に関するご相談が多くなってきました(笑)
いや、笑い事ではありませんね。
真剣に悩まれている様子が文面から伝わってきます。
かなり詳しく事情をお書きいただいたいるので、回答もしやすい
かと思います。
お急ぎかもしれませんが…回答は少々お待ちくださいっ。  
Posted by showroom_chousatai at 18:30Comments(0)TrackBack(0)